Vol.3 HySerpackは何故省エネなのか
制御弁を使用した油圧システムはモータ、油圧ポンプを常時回転させ、タンクから作動油を大量に吸い上げ、圧油を作り続けております。
従ってアクチュエータが停止している時でも100%電気エネルギーを消費し続け、無駄な電気料金を払い続け、更に無駄に消費したエネルギーが熱に変換され、作動油の温度を際限なく上昇させることになります。
HySerpackは
制御弁を完全に撤廃し、ポンプの回転方向、回転速度及び入力軸のトルク制御により、作動油の流れ方向、油量、油圧をコントロールすることに成功しました。(ダイレクトドライブ方式)
アクチュエータが停止している時はモータ、ポンプ共に停止しているために
電力の消費はゼロとなりますので、プレス装置では制御弁を使用したものと比較し
消費電力は平均して1/10以下となっております。
サーボ弁を使用した数千トンの大型プレス装置で長時間加圧した場合の消費電力が、
ダイレクトドライブ方式に変更した事により1/50にまで低下した例もあります。
加圧力(F)と速度(V)からパワーを算出する式はP=F・Vで表されます。長時間加圧の場合、Fは数千トンであっても油圧シリンダのロッド速度はゼロであるため、結果としてP=0となります。信じられないような事ですが、制御弁を追放した結果このような物理の法則を再確認することが出来ました。但し、モータのストールトルク保持及びサーボ゙増幅器用の微小電流は必要です。
Vol.4 HySerpackの同期運転について
HySerpackは信じられない程の省エネ運転が可能となりましたが、その上精密制御のサーボコントロールシステムとして注目を集めております。
その機能の一部として同期運転機能を挙げることが出来ます。同期運転は同調運転とも言われ、多数の油圧シリンダまたは油圧モータを足並み揃えて運動させる機能のことです。
従来の制御弁による同期運転は非常に難しく、メータイン、メータアウト(絞り弁の微調により流量制御を行う)または分配器等に頼らざるをえませんでしたが、油温の変化、負荷の変動等の影響を受け、時間が経過するほど足並みが乱れてしまいます。
HySerpackは油圧シリンダと電動機、ポンプが一体構造となり各シリンダは独立しております。その独立したHySerpackを複数台同時にパラレル運転することは難しいものと思われておりました。ところが複数台のHySerpackの入力をパラレルに接続し同時にロッドの位置と速度の制御を行うことによって、油温の変化、負荷の変動にも係わらず、常に同期精度を保つことに成功しました。
巨大な物体を平行移動させることは勿論のこと偏荷重の物体を傾斜した状態で昇降させることも自由に出来るようになりました。
使用例としては大型プレスのスライド昇降、大型水門を二本のシリンダで吊り下げる方式の昇降装置、大型構造物を多数のジャッキで同時に持ち上げる工法、吊り荷の姿勢制御、長尺物体の移送装置等、多方面で活躍しております。