Vol.11 HySerpackは電動アクチュエータである
HySerpackはアクチュエータが油圧シリンダであるため、これがなぜ電動なのか妙な感じを受ける方が大部分です。電動アクチュエータとは、図1のように電動機でボールねじを正逆回転させナットを直線運動させる機構のものが大勢を占めております。
電動機の回転力をボールねじに伝達し、ナットを直線運動させ推力を発生させる場合、ボールねじは電動機の回転力を直線運動に変換しながらナットへ伝達する、即ち力の伝達媒体であります。
HySerpackは図2のように電動機の回転力で油圧ポンプを駆動し、回転力に比例した圧油を吐出します。その圧油で油圧シリンダを直線運動させる方式となっております。
従って作動油は力の伝達媒体であり、電動アクチュエータの媒体はボールねじ(固体)でHySerpackは作動油(液体)ということになります。従って両者共に電動機の回転力を媒体により直線運動に変換するもので、どちらも電動式であると言えます。
このことからHySerpackは電動アクチュエータと同じエネルギー効率で、制御弁を使用した油圧機器と比べ比較にならない程の高効率であり、応答性も同等と考えてよいことが理解出来ると思います。
Vol.12 HySerpackは推力と変位の同時制御が可能である
HySerpackはVol.11で電動アクチュエータであることを説明しました。という事は油圧シリンダの推力は電動機のトルクに比例し、ロッドの速度は電動機の回転数(回転速度)に比例していることになります。
誘導電動機は商用電源に接続すると電源周波数に依存して略一定の回転数となりますので不適当ですが、サーボモータならば回転数は自由に制御出来、同時にトルクも制御可能です。
従ってサーボモータに直結された油圧ポンプの作動油の吐出方向・吐出量・吐出圧を自由に制御することで方向制御弁・油量制御弁・圧力制御弁がなくても油圧シリンダの押し引き動作・速度・推力を自由自在に操作することが出来る訳です。
その上油圧シリンダに内臓されたリニアスケールでロッドの変位をフィードバックコントロールすることで変位を精密制御することが可能となりました。
以上の説明でロッドの変位を精密に制御しながら同時に推力も精密に制御出来ることが納得出来る事でしょう。
更にVol.7で紹介したようにサーボモータのトルク制御を機能的に活用することで、リリーフ弁を取り去ってもサージ圧は発生しません。