◆ Vol.24 HySerpackとサーボ弁との比較(Ⅷ)
サーボ弁は通常4ポート弁ですがスプールを左右に移動させる構造となっており、そのスプールを全開から全閉まで連続して位置制御する事が出来る、即ち4個の絞り弁をブリッジ状に接続したものと同等であると、ミニミニ辞典Vol.18で説明しました。
ところがこの絞り弁は構造が極めて単純ですが、負荷変動及び作動油の温度変化で流量が簡単に変化してしまいます。
この流量変化は負荷変動によって、絞りの入り口と出口の圧力差が変化するためと、油温の変動に伴う作動油の粘度変化によるものであることは読者の皆様が既に御承知のことで、改めて説明する必要もないことでしょう。
サーボ弁を使用したシステムはフィードバック制御が普通であり、負荷変動も油温の変動もフィードバックループ内で自動的に補償され、何の問題も起きないと考える方もおられる筈です。
油圧シリンダは作動油が一方のポートから押し込まれ、その作動油の流量に比例した速度でロッドが移動します。即ち作動油の流量を積分したものがロッドの変位になります。従って油圧シリンダは積分要素であり、フィードバックループ内に積分要素が入って来ると自己平衡性がなくなります。
このように自己平衡性のない制御系は安定性と即応性を共に満足させることは極めて難しく、一方を良くすれば他方が悪くなるという相反する関係にあります。従って綱渡りのような調整(チュウニング)が必要となり、フィードバックループ内に絞り弁のような不安定要素が更に入って来ると、やっと調整したのに油温が変わったら不安定(発散現象ともいう)になってしまった。又は負荷を変えた途端にハンチングが発生してしまったということになります。
HySerpackは作動油の流量は油圧ポンプの回転数で決定されるので、油温が変わっても油圧シリンダに送り込まれる流量は一定です、又負荷が変動してもポンプの回転数が変動しない限り、流量は殆ど変化しません。従って一旦調整したパラメータをその都度、調整し直すような煩雑なことをする必要がなくなりました。