◆ Vol.19 HySerpackとサーボ弁との比較(Ⅲ)
前回サーボ弁は4個の絞り弁がブリッジ状に接続されたものと等価であると説明しましたが、この場合4個の絞り弁が全く同じように半開になっている時がサーボ弁の中立位置と同じ状態と考えるとP2及びP3の油圧はどちらもP1の1/2となります。例えばP1=20MPaとするとP2もP3も共に10MPaとなります。P2もP3も同じ圧力であることはこの力はお互いに相殺され、シリンダロッドは止まったままで何の仕事もしていないことになります。
このようにシリンダロッドが停止している時でも両側のシリンダ室には大きな圧力が加わっており、この圧力の約倍の圧力を造り出すために電動機と油圧ポンプは休みなく動き続けております。勿論このエネルギーは仕事に全く使われず、オイルタンク内部の作動油の温度を上昇させることだけに使われております。作動油の温度上昇を放置すれば、粘度が急激に低下し油圧ポンプの内部漏れが増加することによって更に油温の上昇が加速されます。いわゆる熱暴走がはじまります。こうなると作動油の分解と炭化が始まるのでそのまえに冷却しなければなりません。強制冷却を行うためには更に動力を必要をします。
このようにサーボ弁の効率があまりにも悪いため強制冷却のための電力も加算され、更に効率低下を招くという悪循環に陥ってしまいます。HySerpackはP1=20MPaとした場合、P2=20MPaとなり、P3は圧力ゼロとなりますのでこの20MPaの圧力は全て推力に変換され100%仕事に使われることになります。従ってエネルギー効率が格段に向上した分だけ発熱も激減することになります。発熱が無くなれば作動油の強制冷却も必要なく、冷却のための動力も不要となります。
