◆ Vol.20 HySerpackとサーボ弁との比較(Ⅳ)

サーボ弁は4ポート方向切替弁の一種であり、通常のon/off動作ではなく各ポートの絞り量、即ち流量を無段階に制御出来るものであります。流量は流路の切替を行うためのスプールの変位をサーボコントロールし、各ポートの絞り量を変化させることで制御可能となります。
サーボ弁で油圧シリンダ(又は油圧モータ)をドライブする時、通常の4ポート方向切替弁のように全開又は全閉で使用する場合、さほど問題はありませんが、サーボ弁本来の使い方、即ち微小流量で動かそうとした時は困った問題が発生します。
その問題とはスプールを中立位置(シリンダが停止する時)から僅かに開にし微小速度で動かそうとするとスプールの静摩擦抵抗のため、サーボ弁の制御電流がゼロからある値に達するまで動かない、所謂不感帯が生じます。そのためスレッショルドやヒステリシスによるスティックスリップ及び動作方向によって停止位置が異なると言う現象が発生します。
この現象を回避するためにディザ信号回路により200~600Hz程度の高い周波数の電流をサーボ定格電流の10~20%の範囲で制御電流に重畳させ、スプールの静摩擦抵抗を減らす必要があります。
HySerpackはディザ信号回路を必要としません。何故ならばシリンダが停止している時でも油圧ポンプは内部漏れのために完全に停止せず、非常に遅い速度で回転しております。従って油圧ポンプの静摩擦抵抗はなく動摩擦抵抗だけとなり、シリンダを微小速度でドライブしてもスレッショルドもヒステリシスも殆ど発生しません。
当社の経験では1㎜/secの微小速度でもスティックスリップは全く発生せず非常に滑らかな動作となっております。